BARNESA Steering Committee meeting

8月20日から24日にタンザニアのダルエスサラームで開催された、
BARNESA(東部・南部アフリカ研究ネットワーク)のSteering Committee Meetingに
参加してきました。Peacock Hotelという、立派なホテルでおこなわれました。

東アフリカ、南部アフリカから約30人ほどが集い、5日間午前・午後にわたって、
今後5年間の各国のバナナ研究の連携について議論が交わされました。
Bioversity Internationalは、BARNESAのSteering Comittee Member
ではないので、規則の改正等には参加できないのですが、討議への参加や
コーディネーションの役が託されています。

ウガンダをはじめ、エチオピア、ケニア、タンザニア、コンゴ、ルワンダ、マラウィ、南アフリカ
から、国を代表するバナナの研究者が集まりました!また、Bioversity本部からと
IITA(熱帯農業研究所)の方も参加されてました。スーダン、ブルンジ、モザンビークの
研究者は欠席。スーダンの方は、ダルエスの空港まで着きながら、入国審査でひっかかり、
そのまま国に帰ってしまったそうです・・・。

BARNESAは、1994年にできてから10年あまりたつものの、まだ基盤がしっかり
していない感があります。バナナの重要性は地域によってさまざまなのと、経済的な基盤が
安定しておらず、認知度や一体感もまだ高くありません。しかし、近年、国を越えて
話し合わなければいけない事が増えてきており、今回の会議は、今後の東・南部アフリカの
バナナ研究全体のゆくえを占う重要なものでした。

20日(月)は、まずコーディネーター(私の上司)であるEldad Karamuraさんからと、
BARNESAのCharmanであるSvetaさん(ルワンダ農業省)からの挨拶があり、そのあと
ASARECAという類似のグループからの活動の説明と、BARNESAとの連携の可能性
についての説明が行われました。
(タンザニア農業大臣からの挨拶も予定されていたのですが、残念ながらキャンセル)
そして、各国からの研究報告がおこなわれました。
夜は、ささやかなカクテルパーティーがひらかれました。

21日(火)は、各プロジェクト報告で、INIBAPの活動、プライベートセクターの活動、
遺伝子技術の導入などが報告されました。私は、自分の研究にからめて、
遺伝子の現地保全における人類学的なアプローチを紹介しながら、
農家の行為や認識をいろんな角度から理解していくことの必要性を発表しました。
個人的にやっている研究も、他の研究者からみたら「プロジェクト」なのだということを、
久しぶりに再認識しました。

22日(水)は、農村でのプロジェクトにおける調査手法についての勉強会でした。
現地活動での経験豊富なルワンダ農業省のPhilipさんを講師としてお招きし、実験室(畑)
と現地プロジェクトとのちがい、データの扱い方などについて教授していただきました。

23日(木)がもっとも重要な日で、今後5年間のBARNESAの活動について、
(1)活動の優先順位と詳細、(2)利益の共有について、(3)コーディネーション、
およびBioversity、ASARECA等のパートナーの役割について、という3つの班に分かれて
(班分けは、座っていた順に、1、2、3とかけ声をかけていって決められました。
私は3班でした)午前は班ごとのディスカッションが行われました。
午後はその結果の発表と、全体討議がおこなわれました。
この日の話し合いは、昼食をはさんで朝の8:30から19:30まで長時間にわたりました。
BARNESAが、ASARECAではなくBioversity Internatioanalにひきつづき
コーディネーションをお願いしつつ、ASARECAとよい関係を保つ、という認識が
共有・確認されました。

24日(金)は、午前、Grobal Conservation Strategy for Musaという地球規模かつ長期
にわたる事業がBioversity Internationalを中心に実施されることに決まり、
コーディネーターであるBioversity本部Charlotte Lustyさんからの説明のあと、
どのように具体的に実施できるのか、その見通しを立てていきました。

午後は、全体のまとめと、今後の予定についてでした。今回は時間ぎれで具体的な計画が
決められず、9月に南アフリカで行われるバナナ研究会議のときに、一度集まって、
続きが話し合われることになりました。

5日間にわたる真剣な話し合いを通して、参加者の方々の粘り強さと議論のキレ、
キャラクターの強さに感服しました。また、だれもが意見を言いやすい雰囲気があって、
アフリカならではだなあ、ということに感心しました。

詳細はまた別稿にゆずるとして、国間の間での連携の必要性として、
・病虫害対策(BXW、Fusarium Wilt、・・・)
・マーケティング戦略
・遺伝子技術の導入
・遺伝子保全
の四つがもっとも重要であることが分かりました。
これを法律や予算等、各国での法律、予算、思惑等の違いを乗り越えて
協力し、利益もうまく行き渡るようにするというのは、かなり大変なことだと
分かりました。バナナ研究者は国の農業政策のトップではないので、
上司や大臣を説得することによって政府からのバックアップを得る
必要があるわけです。
また、BARNESAはドナーへの働きかけをほとんどしていなかったので、
どんどんドナー、ファンドへの働きかけ、申請を協力して
おこなっていく方針を定めました。
それと、BARNESAの弱点としてコミュニケーション力、宣伝力の弱さが指摘され、
これから積極的にホームページ、ニュースレターや各国における
コンタクトパーソンの配置等の整備がなされることになりました。


この会議をとおして、いろいろなことに気づかされました。
それは、アフリカにおいては、アジアとすこしちがった面において
バナナ研究には政治的な性質がかならずついてまわるということと、
そこのところをうまく立ち回れる人びとやグループが、
強い資金力や「研究力」を獲得していける、ということです。

バナナの会議を通して、農家、研究者、政策立案者、国を越えたネットワーク
といったさまざまなレベルにおいて、それぞれの思いが交錯、または
ぶつかり合いながら大きなことがらが決められていきました。

ただそこでは、「農家」の顔は、不可避的に見えにくくなっていきます。なぜなら、
「農家」というカテゴリーは、それ自体が意見を強く言えるわけでもなく、農家がある一枚岩の
つよい特徴を持っているわけではないからです。

研究にはドナーがついていて、それを説得することなしに研究をすることができない、
という事実も重要です。つまり、研究は研究者の想像通りに申請が通るわけではなく、
「この申請を出したら通った!よしはじめよう」という順序なわけです。
そこで農家は(1)研究の受益者であるとともに(2)研究・プロジェクトの素材、という、
良くも悪しくも二重の性格を付与されます。
これまで、「農家」を対象にして見てきたのですが、彼らの知らないところでこのように
決まっていくのか、ということが分かり、新しい世界を知る感覚を覚えました。

よく考えてみると当り前のことなのですが、私も昔研究をはじめる時点において、
このようなことに盲目的でした。また、考えすぎたら、どこから研究をはじめていいのやら
迷ってしまいますね・・・。

遺伝子保全など、地球規模での「普遍的な」価値をめぐっても、考えるところが極めて
多い会議でした。バナナはローカルでグローバルな作物だけに、その事情も
かいま見れられたわけです。
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by bananauganda | 2007-08-27 21:41 | バナナ


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